世界銀行が発表した「2020年のビジネスのしやすさ指数」により、ベトナムは190カ国中70位にランクインされた。ベトナムにおける事業の主な課題とは:
- 汚職
- 官僚主義
- 曖昧模糊としたベトナム法体系
- 知的財産権の実施が不足
- インフラ不足
- 技能不足
- 言語の壁(従って、翻訳・通訳者が必要)
賄賂・腐敗
ベトナムでは腐敗が依然として問題となっており、円滑化のための支払い、賄賂、事業関係構築のための高価な贈り物を受け取ることなど、何らかの形式で腐敗に遭遇したり、そのような話を聞いたりする可能性がある。
ベトナムでは、司法の独立性はまだ少ないため、腐敗は裁判所の深刻な問題となっている。
トランスペアレンシー・インターナショナルの最新の2018年腐敗認識指数(2019年1月発表)では、ベトナムは180か国中117位にランクされている。これは数年前に比べわずかな改善があり、小幅ではあるが、情報公開法の新設など、政府の腐敗防止に対する新たな取り組みを反映している。しかし、点数はここ数年で下がり始めており、政府の努力は、防止と執行活動が依然として弱いため、実際での限られた行動にしか反映されていない。
知的財産(I P)
知的財産権(IPR)は地域的なものであり、登録された国内でのみ保護されることを意味する。従って、あらゆる輸出市場において(必要な場合)I P Rの登録を検討する必要がある。
ベトナムは、世界経済フォーラムの世界競争力レポート2018においてIPR保護に関して140か国中77位にランクされている。ベトナムにはIPR保護に関する規制がある。しかし、執行力がまだ強力ではないため、輸出する前にIPを保護するための対策を講じる必要がある。
商標、意匠、特許、著作権は、ベトナムの法律に基づく知的財産保護の主な形態であり、全て法律によって規定されている。コモンローでは、ある人が他人の商品やサービスを譲渡することに対する保護、及び機密情報または企業秘密の保護も規定されている。
- ベトナム国家知的財産庁(NoIP)はIP登録に責任がある。(NoIP ウェブサイト)
- ベトナム国家著作権庁(NCO)は著作権問題について担当する。(NCO ウェブサイト)
特定産業分野の企業は、自社に関連するIP問題の情報を調査することが推奨されている。ベトナム市場参入を計画する際には、早期に防御策を実施する必要がある。
サイバーセキュリティ
2019年1月1日から有効となったサイバーセキュリティに関するベトナムの新法により、データローカライゼーション、企業のプレゼンス、ユーザー情報の保存と認証の要件が定められた。
法律は、企業が要請を受ける場合、ベトナム当局に情報を提供し、同時に24時間以内に特定の内容を制限・削除することを義務付けている。本法律の実施と執行に関する詳細なガイダンスはまだ承認されていない。
ベトナムの顧客に対して、通信ネットワークやインターネットを通じたサービス(ソーシャルメディア、検索エンジン、オンライン広告、オンラインストリーミング、ウェブサイトまたはEC、インターネットベースの音声・テキストサービス(OTTサービス)、クラウドサービス、オンラインゲーム、オンラインアプリケーションなど)の提供を計画している場合、法律の遵守に関する法的アドバイスを受ける必要がある。
自然災害
熱帯低気圧は東海岸地域に沿って、通常は5月から11月の間に発生する可能性があるが、これ以外の時間帯に発生する可能性がある。その結果、降雨や強風により洪水が発生し、移動を中断される可能性がある。
ベトナム国立水文気象予報センターのサイトで暴風雨の接近を監視し、避難勧告などを含む地方自治体の指示に従う必要がある。
熱帯モンスーン気候のベトナムでは、短時間に大量の降雨をもたらすため、局地的な洪水、鉄砲水、土砂崩れなどが比較的頻繁に発生する現象である。農村部や山間部を移動する際には注意が必要である。
(情報源)
その上、TMFによると、ベトナムで事業を行う際の10の大きな課題がある。
企業設立
ベトナムで企業を設立するには10の手続きが必要であり、ベトナムは世界でも最も複雑な起業環境を有する国の一つといえる。さらに、海外企業にとっては、新企業が直面する多くの要求は、馴染みのないものであり、その分、はるかに厳しいものとなる。例えば、警察局での印鑑登録や、現地の新聞での設立公告などは、一般的な企業では行う必要のない手続きである。
建築許可の処理
ベトナムで建築許可を取得するには110日と11の手続きで、ここでも複数の国家当局とのやり取りが必要となる。検査は建設局と市町が行い、消防署、建設局、資源環境局から証明書を取得する必要がある。
電気接続
電気の接続は、ベトナムのスタートアップ企業が直面する最も厳しい課題の一つであり、完了までに115日を要し、一人当たりの所得に大きな割合を占める。交通運輸局及び消防局との手続きを完了する前に、地元の電力会社による検査が必要である。
財産登録
財産登録には完了するまでに57日を要し。OECDの標準よりはるかに高いが、東アジア・太平洋地域の平均程度である。譲渡人と譲受人との間の契約は、納税および土地使用権登録手続きが完了する前に結ばれる。
信用提供
ベトナムはかなり安定した信用環境を有し、資本の回収は企業にとって比較的スムーズなプロセスである。ただし、民間の信用調査機関が少ないため、海外企業にとってはプロセスが少々複雑になる可能性がある。
投資家保護
投資家保護はベトナムが弱い分野である。世界銀行とIFCにより169位であり、取締役の責任指数と株主との適切指数が弱い。
納税
毎年32の巨額の法人税の支払いがあり、完了するまでに平均872営業時間を要する。OECDの慣行が176時間、東アジア・太平洋地域の平均が209時間であることと比較すると、ベトナムでは税金が最も負担の大きい事業プロセスの一つである。
商業
製造の基盤が強く、連携協力を集中し、国境を越える取引はさほど難しくはない。しかし、それはプロセスが複雑でないとは言い切れず、輸出入ともに必要な書類の流れから、国境を越える貿易は時に困難であることがうかがえる。
契約の執行及び支払不能の解決
契約の執行には400日と34の手続きを要する。支払不能の解決はより手間がかかるプロセスで、完了するまでに平均5年かかり、回収率も低くなっている。
文化
ベトナム人は、中国の哲学者である孔子の教えを信じ、人間関係、責任、義務の重要性を強調している。ベトナムは集団主義の国であり、企業や個人のニーズよりも地域社会の関心事が優先されることがほとんどである。